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JIPC加盟各社 紹介 第8回 グリーンスタンプ株式会社

JIPC加盟各社 紹介第8回 グリーンスタンプ株式会社

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普段利用しているポイントサイトをどんな企業が運営しているのか、気になったことはありませんか? 会社概要や沿革を読むだけでは分からないことも多いはず。そこで、JIPCに加盟している企業を順次訪問、ポイントサービス事業を統括する責任者にスポットを当てながら、他社にない取り組みや強み、社風など、企業の素顔の一端を照らし出してみました。

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東京千代田区丸の内。オフィス街に本社を構えているのが、創業1961年、日本で初めてトレーディングスタンプ事業を展開したグリーンスタンプ株式会社だ。2001年からはインターネットポイントサービスにも進出。ネットとリアル、両方の世界を網羅するこのポイントサービスの先駆的企業に、直面している課題や解決の取り組みなどを聞いた。

今回取材に応じてくれたのは、執行役員にしてマーケティング戦略本部部長の江本真理さんを中心に、マーケティング戦略本部企画Gリーダー次長の中村和範さん、マーケティング戦略本部マーケティングGマネージャーの内田彩さん、商品本部部長の石川聡子さんの4人。

<グリーンスタンプが提供するポイントサイト>

グリーンスタンプロゴ

ショッピングをしたりアンケートに答えたりすると、ポイントが貯まり、商品やチケット、電子マネーなどに交換できるポイントサイト。

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【江本 真理さんプロフィール】

グリーンスタンプ株式会社

執行役員

マーケティング戦略本部 部長

江本真理さん

1959年 熊本県生まれ。1983年 学習院大学経済学部卒、同年グリーンスタンプ株式会社入社。メーカーや卸店・小売店向けに販促やキャンペーンを行うインセンティブ事業部に配属。その後、グリーンスタンプのマーケティング部門に異動。新規事業や新規プロジェクトの立ち上げに携わる。2001年には「マイ・グリーンスタンプ」の前身となる「J-Point」を立ち上げている。以降、インターネットポイント事業に一貫して携わってきた。

 

【グリーンスタンプ株式会社概要】

グリーンスタンプ株式会社

1961年9月創業

資本金:1億円

従業員数:約400名

代表取締役社長:春日 政彦

事業内容:ポイントサービスの企画運営サポート/顧客データの活用による分析・提案/カタログ商品の開発と提供/店舗診断、競合店対策、各種調査等、経営上の指導・アドバイス

https://www.greenstamp.co.jp/

――御社といえば、日本におけるトレーディングスタンプ事業の先駆者として広く知られています。1961年の創業と同時に事業をスタートさせていて、2年後の1963年には、かの松下幸之助氏を筆頭に、経済界を代表する錚々たる面々が発起人となり、グリーンスタンプ株式会社を設立しています。

江本 スタンプを貯めれば商品と交換できる。弊社のスタンプにはその価値があることを皆さんに信じていただくためには、会社自体に社会的な信用がなければいけない。そう考えた創業者が、重鎮の方々に声を掛け、発起人になっていただいたと聞いています。

――当時のグリーンスタンプは一枚ずつ切り離せるように目打されていて、裏には糊も塗られ、まるで小さな切手みたいでした。商店で買物すると金額に応じてスタンプが貰えるから、これを台紙に貼って貯めていくわけです。たくさん貯めるほど良い商品と交換できたので、うちの母親も一所懸命集めていました。

江本 今も時折そのタイプのスタンプを、わざわざ弊社に持参してこられるお客様もいらっしゃいます。無期限有効を謳っていますので、会社が存続する限り、交換対応しています。

石川 大掃除をしていたらタンスの奥から出てきたという声をよく聞きます。スタンプから樟脳の香りが漂ってきたりすると、大切にしまってくださってありがとうございますという気持ちになります。

――ほっこりしますね。そのようにリアルの世界でずっと事業展開してきた御社ですが、2001年にインターネットポイントを立ち上げ、ネットの世界に進出されました。リアルの世界で長く培ってきた経験と照らし合わせてみて、ネットの世界にはすぐに親和性を感じましたか?

江本 実は正直、当時はなかなか親和性を感じることができませんでした。2001年という時期的な問題もありました。一般のお客様にとって、インターネットというものが、ようやく日常になりつつあるタイミングでしたから。しかし、それ以上に、グリーンスタンプをご利用されている方は、主に食品スーパーの利用者で、主婦の方が中心。インターネットポイントを利用される客層とのギャップを痛感しました。

――なるほど。では、今の話にも通じることかもしれませんが、これまでの業務のなかで、とりわけ力を入れて取り組んでこられたことは何ですか?

江本 これはインターネットポイントに携わるようになって以降、ずっと取り組んでいることですが、リアルの世界とネットの世界をどうやって近づけるか? このことが一番大きいですね。しかも、未だに明確な解決策を見いだせていない課題でもあります。

――ひと筋縄ではいかない課題ですね。

江本 スタンプに樟脳の香りがしたという先ほどの話もそうですけど、我々はリアルの世界、それもアナログの世界をベースにしている会社なので、ネット専業の企業に比べると、サービス品質の面でまだ追いついていないと感じています。リニューアルのタイミングとか新しいサービスの導入とか、そういうことに関して1歩も2歩も遅れているという印象です。もちろん、これまでも重点的に取り組んできた領域ですが、まだまだ解決しきれていない課題です。

――今、ネット専業企業との違いについて述べられましたが、同業他社にはないグリーンスタンプならではの強みとは何でしょう?

江本 既存のクライアントにリアル店舗があって、そこに一千数百万人規模のリアルなお客様がいる。そのお客様をターゲットに「マイ・グリーンスタンプ」というインターネットポイントサイトが運営できる。強みといえるか分かりませんが、この構図が我々の一番の特徴だと思います。

――いや、リアルで展開できるのは強みですよ。

江本 あとは石川が担当している交換商品ですね。ポイントで交換できる商品やサービスのバリエーションがとにかく豊富です。こうした取り組みは、他社さんではあまりされていないだろうと思います。

――ちなみに何種類ぐらい用意されているのでしょう?

石川 常時1000以上のアイテムが掲載されています。ジャンルも幅広くて、家電、キッチン用品、玩具、グルメ、旅行券やレジャーチケットとも交換できます。最近はJALマイレージや楽天Edyのような電子マネーに交換される方も多いですね。ポイントを社会貢献に使う方も少なくありません。大規模災害発生時にはポイント募金を実施しています。

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カタログ内にはポイント交換に関して丁寧に記載されている。さまざまな交換の選択肢がある。

――一番人気は何ですか?

石川 キッチンアイテムをご希望される方が多いですね。

――身近なアイテムで、交換しやすいポイント数なんですかね。

石川 その一方で、ルンバやダイソンみたいな5万円を超える高額家電を狙って交換するお客様もいます。じつは「カタログにはないけど、こんな商品と交換したい」というお客様の要望を叶えるサービスを始めているのですが、エアコンをご希望された方もいらっしゃいました。

――面白いですね。ポイントは普通「いつの間にか貯まっていたから、あの商品と交換してみようか?」と思うものですが、そうではなく、この商品が欲しいから・・、に狙いを定めてポイントを貯めるわけですから夢がありますよね。

江本 どちらかというと、そちらを志向してきたという自負があります。インターネットポイントサイトは消費者を中心に置きますが、私たちの場合、消費者の前にクライアントである小売店さんがいます。小売店さんの販促としてサービスを利用していただくわけですから、小売店さんの売上が上がってくれないと困るわけです。お客様にこの商品が欲しいから貯めたい。貯めたいからこの店に行く。そういう流れをどう作るかがキモになるわけですね。

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受付ロビーには、ポイント交換したお客さまからの感謝のコメントが貼ってある。

――なるほど、御社の強みはお伺いしましたが、同業他社の集まりであるJIPCについてのご意見をお聞きしたいと思います。参加されたことによるメリットは?

江本 リアルの世界をベースにしているため、社内的には常に傍流と位置付けられがちな弊社のポイントサイト事業ですが、そういった立場からすれば、JIPCは目標となるような企業様が数多く参加されている団体だという気がします。参加したことで、貴重な情報や新サービスに触れる機会も多く、とても参考になっています。また、業界の健全化という意味でもJIPCの存在価値は大きかったと思っています。

――では、御社の社風についてお訊きします。代表のパーソナルも影響するでしょうし、何よりこの業界では歴史が長いので非常に興味があります。グリーンスタンプとはどんな社風の会社でしょう?

江本 難しい質問ですね(笑)。個人的な印象としては、よく言えば真面目な社風。ややネガティブな言い方をすれば、保守的な部分が強い社風ですかね。

――ヤンチャではないということですね。

江本 ヤンチャではないですね(笑)。もう少しヤンチャなところがあっていいんじゃないかと個人的には思ったりもしますが。先ほど新サービスの導入が遅れがちだと申しあげましたが、この社風が影響しているのかもしれませんね。

石川 私もリアルとの差を日々感じています。

内田 社風について補足するとすれば、弊社の社員のうち約100名が営業員なのですが、彼らが何をしているかというと、全国各地のお得意様――スーパーや商店の経営者の方々と商談するわけです。目上の、しかも経営者とお話しするわけですから、これは聞き上手にならざるをえません。それは真面目にもなりますよ。

――フェイス・トゥ・フェイスで話を聞くわけですね。リアルの世界を相手にしてきただけあって、地に足着いた感じがします。

江本 かなり泥臭いですよ(笑)。

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マーケティング戦略本部マーケティングGマネージャーの内田彩さん、商品本部部長の石川聡子さんからも、グリーンスタンプの取り組みなどについて、コメントをいただきました。

――江本さんのパーソナリティについてもお聞かせください。江本さんご自身は、自分をどんなパーソナルの持ち主だと思っていますか?

江本 きっと、社内からはアバウトな奴だと思われているんじゃないでしょうか? 確かに、精緻に積み上げていくような作業は、あまり得意ではありませんから。新しモノ好きにも見られていると思いますね。社内でも新規事業や新規プロジェクトの立ち上げなど、何か新しいことが始まる時は、大概、頭を突っ込んでいますので。

――プライベートでも新しモノ好きの自覚はありますか? たとえば、新しいデバイスが出たりすると、気になってしまったりとか?

江本 それはありますね。いろいろなモノに興味があるので、何かが新登場したりすると、プライベートでもショールームまで観に行ったりしますので。

――なるほど。では、現在プライベートで最も時間を費やしていることは何ですか?

江本 長年の趣味といえるのが読書。しかもミステリーです。学生の頃から読み続けています。私が求める書籍のうち99%がこのジャンル。ストーリーを追いかけながら、自分も一緒になって謎解きしていく感覚が好きなんです。

――座右の銘はお持ちですか?

江本 座右の銘とは言えませんが、いつも心に留めている言葉が2つあります。ひとつは「行動しなければ100%失敗しない。その代わり成功も100%ない」。とても好きな言葉です。だから行動しようということですが、言い回しが気に入っています。もうひとつは「インプット以上のアウトプットはない」。アウトプットしたければ、事前にインプットしておかなければいけないという意味です。インプットしていないものは、どう捻っても出てきません。つまり、どれだけインプットできるかが勝負なのだと思っています。

――分かりました。ここで改めて、直近の課題と将来の展望をお聞かせください。課題というと、やはりリアルとネットをどう接近させていくか、になりますか?

江本 そうですね。システム自体は、やりやすい方向にどんどん進歩しています。リアルの店舗で動かす仕組みも、ウェブを上手に絡ませないと、うまく稼働しないような状況になりつつあります。スマートフォンの活用も然りです。リアルの店舗でもスマホの活用法が一部動き始めているので、そこをキャッチアップしながら、我々が得意とするポイントサービス分野に上手く落とし込んでいけるか。大きい課題ですし、出口もまだまだ見えませんが、少しずつでも解決に向かえば、将来はもっともっと面白くなっていくんじゃないか、そんな気がしています。

――将来についてお話しいただきましたが、たとえば10年後、個人的にはどんな人間になっていたいですか?

江本 10年後というと68歳ですか。気のいいお爺ちゃんになれているといいですね(笑)。ただし、隠居するのではなく、何か取り組めるものがあるといいかもしれませんね。それが仕事なのか、何なのかは想像つきませんが。それよりも後2年で60歳を迎えるので、まずはこの2年をどう過ごすかですね。いろいろな課題が山積しているので、ひとつでもふたつでも解決に貢献できればと思っています。

――リアルとネットをどう接近させていくか? 解決策が見つかれば、大きなインパクトを与えるのは必至ですね。今後に期待しています。本日はどうもありがとうございました。