JIPC加盟各社 紹介
第5回 インフォニア株式会社
普段利用しているポイントサイトをどんな企業が運営しているのか、気になったことはありませんか? 会社概要や沿革を読むだけでは分からないことも多いはず。そこで、JIPCに加盟している企業を順次訪問、ポイントサービス事業を統括する責任者にスポットを当てながら、他社にない取り組みや強み、社風など、企業の素顔の一端を照らし出してみました。
東京日本橋蛎殻町。地下鉄水天宮駅を上がると、インフォニア株式会社の本社オフィスはすぐ目の前です。「チャンスイット」「ゲットマネー」と2つのメディアを持ち、なおかつ多彩な関連会社を傘下に収める大きなグループ企業の一員でもあるだけに、連携から生まれるシナジー効果がいかなるものか、気になるところです。そこで、2016年6月に代表取締役に就任された黒川隆司さんにお話を伺いました。
<インフォニアが提供するポイントサイト>
「チャンスイット」は、ポイント、懸賞、ショッピング、アンケートなど、お楽しみ情報満載のお得生活応援サイト。
「ゲットマネー」は、ショッピングやゲーム、キャンペーン申込みでポイントが貯まる。5000Pt(500円)から換金可能。
【黒川隆司さんプロフィール】
インフォニア株式会社
代表取締役
黒川隆司さん
1964年福岡県生まれ。福岡市立福岡商業高等学校卒業後、地元福岡にて工業系の企業に入社。その後、東京の化粧品会社に転職。10年ほど勤務経験を積んだ後に退職。2004年8月、株式会社チャンスイットの役員に就任。2016年6月、インフォニア株式会社の代表取締役に就任。趣味はゴルフと釣り。ただし、忙しくてほとんど行けていないとか。
【インフォニア株式会社概要】
インフォニア株式会社
1997年6月17日創業
資本金:1億円
代表取締役:黒川隆司
事業内容:インターネットを利用した各種情報提供サービス、ホームページ作成及び更新の受託、広告代理業、プロモーションの企画・立案及び実施など
http://www.infonear.co.jp/
――御社は現在、メディア事業を始め、広告代理事業、WEBソリューション事業、チャイルドケア事業などさまざまな事業を展開されています。メディア事業に着目すると、1997年に「Chance It!(チャンスイット)」を立ち上げています。これは“懸賞サイト”になるわけですね?
黒川 そうです。当時は懸賞自体がとても盛りあがっていました。テレビ番組などでも懸賞情報を紹介するサイトということで取り上げられたりもしましたね。懸賞サイトの先駆けとして非常に知名度が高かったと認識しています。
――現在は懸賞サイトというより、ポイントサイトとしての色合いが濃い?
黒川 懸賞サイトとポイントサイトを融合したような形態で運営しています。他社さんはほぼポイントサイトに特化されているので、その意味では、懸賞サイトでもありポイントサイトでもあるという、他社にはない特色のあるサイトになっていると思っています。
――もうひとつ御社は2001年より、ポイントサイトの草分け的存在ともいえる「GetMoney!(ゲットマネー)」の運営をスタートさせています。こちらは現在の会員数がおよそ55万人。「ゲットマネー」と「チャンスイット」は、御社の中でどのような棲み分けがされているのですか?
黒川 「ゲットマネー」は、2008年のリニューアルで純広告を導入するようになりましたが、元々はアフィリエイトに特化したポイントサイトでした。ユーザーさんもポイントを稼ぎたいという方が大半を占めます。そこで、特に金融関係に注力することで、ユーザーさんのご要望に応えています。実際、ユーザーさんも金融関係の案件には動きが活発です。金融関係に関しては、おそらく他社に負けないくらい動きが活発だと評価しています。
――「チャンスイット」の方は、また色合いが異なるんですね?
黒川 「チャンスイット」の方は、お得な情報サイトにして実績のある懸賞サイトであり、しかもポイントまで付与される。そういうビジネスモデルですね。
――黒川さんは2016年の6月に現在のお立場である代表取締役に就任されましたが、就任以来、とりわけ力を注いで取り組んでこられたことはありますか?
黒川 メディア事業について、もう一度土台作りをしたいと考え、これに取り組んできました。ユーザーの目線に立ち、真にユーザーが求めるメディアにしていきたいと考えています。
――具体的に着手していることはありますか?
黒川 コンテンツもそうですし、サイト構成についてもそうです。弊社のユーザーは年齢層が高めなので、サイト構成については、できるだけ分かりやすいものを構築しなければなりません。少しでも難しいと感じさせたら、すぐにサイトから離れていってしまいますので。“簡単で分かりやすい”を目指して、より一層の改善策を講じているところです。
――同業他社にはない御社ならではの強みがあるとすれば、それは何だとお考えですか?
黒川 繰り返しになりますが、「チャンスイット」に関しては懸賞サイトとポイントサイトを融合したメディアということで、他社さんとは差別化できているかなと思っています。「ゲットマネー」については、他社さんと同じポイントサイトではありますが、ユーザーさんの動きが非常に活発であることをみると、やはり金融案件では強みがあるのではないかと捉えています。
――冒頭にも述べましたが、御社は多彩な事業を展開されています。なおかつ、関連企業も多いとお聞きしています。他の事業部、あるいは関連企業と連携することはあるのでしょうか? さらには連携することで、シナジー効果を生んでいるような事案はあるのでしょうか?
黒川 広告代理事業に「AFRo(アフロ)」というアフィリエイトサービスを提供する広告プログラムがあったりしますので、関連企業を使ってシステムを開発したり、リニューアルをしたりといったことは行っています。それから関連企業に人材派遣会社があるので、急に人員が不足したような場合に対応してもらうといったこともあります。その意味ではシナジー効果は大きいと言えるかもしれませんね。
穏やかな口調でインタビューに対応くださった黒川隆司代表。
――なるほど。そんな御社ですが、黒川さんからご覧になって御社の社風をひと言で表すなら?
黒川 メリハリのある社風だと思っています。ファミリー的な雰囲気をベースにしながらも、厳しいときは厳しく、優しいときは優しくと、社員一同メリハリを持って事に臨んでいるように思います。
――メディア系の企業は服装も含め、自由な社風のところが多いように思いますが、御社はその点はどうなんでしょうか?
黒川 基本的には自由ですが、そこにもやはりメリハリがあります。営業担当はクライアントさんとの折衝もありますので、やはりスーツを着用して出社しています。ただ、水曜日に関しては、ノー残業デイということも含めて、私服でも構わないことにしています。
――御社には普通の広告やアフィリエイト広告の営業をされている方もいるので、スーツの着用率もそれなりにあるわけですね。外から拝見する限り、スーツとそうでない方の比率は半々ぐらいでしょうか。それから女性社員の比率がとても高いですよね?
黒川 営業職に関しては、まだ男性の方が多数派ですが、全社でみると女性の方が多いですね。ここ数年、女性の比率がどんどん上がっていますし、新卒の採用も女性の比率が高くなっています。
――それはなぜでしょう? 女性にとって働きやすい職場環境が整っているのでしょうか?
黒川 それはあると思います。育児休暇が取りやすいとか、休職してもいつでも戻ってこられる環境があるとか。そのように認識している女性社員は少なくないでしょう。
――大手企業では珍しくないかもしれませんが、IT企業ではかなり稀ですよね。
黒川 入園申請したけれども落ちてしまったので、今年は子供を保育園に預けることができない。だから、職場復帰までもう少し待ってくれませんかといった要望に対して、できるだけ柔軟に対応しているのは事実です。会社としてもそうですが、部署単位でも休職者の復帰を待つという環境が整っています。
――復帰するのを待っていてくれているというのは嬉しいでしょうし、モチベーションにもなりますね。ずっと以前からそうした取り組みをされていたのですか?
黒川 いえ、何年か前に女子社員が続けて出産し、育児休暇を利用するようになったのが直接的なきっかけです。それ以降、個別のケースに対応していく中で、だんだんと整備されていったというのが正直なところです。
――具体的なケースに対処していくなかで、会社としてもいろいろな気づきがあったのでしょうね。働く女性にとって、安心して働ける環境が整っている会社の存在はとても大切ですよね。そんなインフォニアのトップに立つ黒川さんですが、社員の皆さんからどのような人物に見られていると思いますか?
黒川 よく分かりませんが…、ただ、ワンマンだとは思われていないでしょう。私自身、ワンマンで事を進めるのが好きではないので。
――では、ご自身では自分をどのようなパーソナリティの持ち主だと思っていますか?
黒川 弊社は社員の年齢が平均的に若くて、私が最年長になるんですね。皆より年齢を重ねてきた分、今の若い社員にはない雰囲気を持っているとはいえるかもしれません。
東京メトロ「水天宮前」の駅近くにインフォニアはある。フロアには、やはり女性社員が多い。
――プロフィールを拝見すると、黒川さんは若い頃から複数の業態で経験を積んでこられています。おそらく厳しい場面にも幾度となく臨んでこられたはずです。その意味でいえば、今の若い方たちとは、考え方ひとつとっても当然違いが出てくるでしょう。
黒川 我々のような世代は、若い頃、職場で非常に厳しく指導されました。極端にいえば“右に倣え”の時代です。今の時代にそうした指導はそぐわないかもしれませんが、ときには悪役を買って出ても厳しい対応をしなければならないことがあります。人に好かれるに越したことはありません。しかし、それだけでは組織は回っていかないし、なにより自分の経験を社員に伝えていきたいと願っています。先ほども言いましたが、やっぱりメリハリのある対応をしていきたいですね。
――わかりました。次は少しプライベートなことをお訊きします。今、プライベートで一番時間を費やしていることは何ですか?
黒川 平日は21時頃まで仕事していることがほとんどなので、前提として平日にプライベートな時間を作ることはなかなか不可能です。休日もほぼ家族サービスに充てています。ゴルフや釣りも好きなんですが、今は時間をたっぷり費やせるほど一人になれる時間がありません。
――そうなんですね。まったくありませんか?
黒川 あるとすれば、朝のジョギングだけですね。週に2~3回程度ですが、早朝一人でいろいろ考えながら走っています。
――プライベートでのリフレッシュタイムが、仕事に何らかの影響を及ぼすようなことはありませんか?
黒川 仕事中は目の前のことに集中せざるをえないので、どうしても煮詰まりがちになります。こうなると良い発想はなかなか浮かびません。良い発想が浮かぶのはむしろ、一人でいるときです。私の場合はそれが一人でのジョギングです。始めは何も考えずに走ります。それがストレス発散になるんですね。ストレスが解消されたリラック状態のときに、さまざまなアイデアがパッと浮かんできます。もちろん、それを現実化するには、高いハードルをいくつも越えなければなりませんが、発想の貴重な芽生えは一人で走っているときの方が浮かびますね。
――なるほど。良いアイデアが浮かぶのであれば、朝の一人ジョギングは、ご自身にとってはとても重要な時間になりますね。
黒川 とても大事な時間です。たぶん、それがなくなると爆発してしまうでしょう(笑)。
――そうならないことを願っています(笑)。ちなみに座右の銘はありますか?
黒川 「明日やろう、バカヤロウ」。
――非常にインパクトがあります。どういう意味ですか?
黒川 今日できることを明日に回す人間はバカヤロウだという意味です。今日できることは今日やりなさいということですね。
――なるほど、心に響きますね。それでは仕事における現在の課題と将来の展望を教えてください。
黒川 先ほど申し上げた通り、今あるメディアをもう一度、土台を固め直しながら繁栄させていきたい。それが現在の課題です。将来の展望については、あまり長いスパンでは考えていません。1年先、2年先のことを見据え、課題に取り組んでいきたいと思っています。
――個人的には10年後どんな人物になっていたいですか?
黒川 すっかり老人でしょうね(笑)。代表取締役という立場からいえば、短期間にやるべきことをやり遂げて、次の世代に譲りたいと思っています。その上で自分としては何か新しいことを始めたい。いずれにしろ、インフォニアの土台は創業者が築いたものですから、私はそれをより繁栄させて、次の世代に渡していきたい。自分にとってそれが今抱えている一番の課題です。そのためにも今は人を育てることを最優先に考えています。
――なるほど。次の世代に会社を引き継いだら、何か新しいことを始めたいという希望をお持ちなんですね。新しいこととは具体的にどのようなことなのでしょう?
黒川 今、それを言ってしまうと「なんだ! アイツ、もうそんなことを考えているのか……」などと思われても具合が悪いので(笑)、ここでは言葉にするのは控えておきます(笑)