新しい社会貢献スタイル「ポイント募金」について、JIPC加盟企業が実施している被災地支援の概要を紹介した連載第1回目は、多くの方から反響をいただきました。ポイントのチカラで社会に貢献する意識の高まりを強く感じます。そこで第2回目となる今回は、より具体的に、JIPC加盟企業の社会貢献活動をご紹介したいと思います。
〜第2回〜
災害翌日には募金開始。現金化、送金も速いポイント墓金
東日本大震災で14社、熊本地震で12社がポイント墓金を実施
JIPCに加盟する企業全21社のうち募金を実施した企業は、東日本大震災で14社。熊本地震で12社でした。また、各企業の募金額を合算した募金総額は、2017年1月17日時点で、東日本大震災が157,212,802円(1社平均 約1,100万円)、熊本地震が23,609,185円(1社平均 約200万円)となりました。
参考までに、以下の加盟企業の募金内訳を紹介します。
○ポイントサイト:ハピタス(http://hapitas.jp)
運営企業:株式会社オズビジョン
熊本地震ポイント募金
実施期間:2016年4月20日~5月31日
募金総額:1,697,597円
募金総件数:4,333件
寄付先:シビックフォース
○ポイントサイト:ポイントインカム(http://pointi.jp)
運営企業:ファイブゲート株式会社
東日本大震災義援金募集
実施期間:2011年3月12日~2011年5月8日
募金総額:1,045,431円
寄付先:日本赤十字社
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熊本地震災害義援金募集
実施期間:2016年4月19日~2016年5月31日
募金総額:460,535円(会員より募った義援金360,535円/ファイブゲート社拠出金100,000円)
寄付先:日本赤十字社
○ポイントサイト:ライフメディア(http://lifemedia.jp)
運営企業:株式会社ライフメディア
東日本大震災義援金募集
実施年月:2011年3月
募金総額:6,000,000円(会員より募ったポイント募金1,591,752円/ライフメディア社拠出金4,408,248円)
寄付先:日本赤十字社 その他
○ポイントサイト:Gポイント(http://www.gpoint.co.jp)
運営企業:ジー・プラン株式会社
東日本大震災義援金募集
募金総額:17,895,093円
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熊本地震災害義援金募集
募金総額:8,487,248円
東日本大震災では地震だけでなく津波による被害もあり、多くの命が失われました。熊本地震では、熊本城や阿蘇神社などの重要な歴史的建造物が倒壊してしまいました。JIPC加盟企業の中には、これらの災害に対し、現在も引き続き、募金活動を行っているところもあります。
社会貢献、その具体的な取り組みとは?
JIPCに加盟する各企業は、どのようにポイント募金を実施しているのでしょうか? 業界内でもいち早く社会貢献事案に取り組んできた「株式会社VOYAGE GROUP」を訪ねました。
株式会社VOYAGE GROUP ECナビ事業本部 事業本部長の矢下克正さんに、具体的な取り組みの内容をお訊きしました。
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選べるポイント募金、3つの形態
――VOYAGE GROUPが運営しているポイントサイト「ECナビ」では、どのようなポイント募金を展開されているのでしょうか?
矢下 正式名称を「スマイルプロジェクト ECナビ募金」といいますが、「ECナビ」のサイト内にポイントを利用して募金できる仕組みを複数設けています。そのうちのひとつが特別災害支援です。これは震災など大きな災害が発生した場合、被災地支援を目的にただちに開設されるもので、会員の皆様はご自身が保有しているポイントから任意の金額を自由に寄付することができます。
――いわゆる、私たちがイメージするポイント募金ですね。
矢下 そうですね。これとは別に設けているのが、会員の皆様に特定のアクションをしていただき、そこで発生した広告収益の一部を基金として積み立てていく仕組みです。この仕組みには「クリック募金」と「検索募金」という2つのコンテンツがありまして、どちらも「ECナビ」のサイト内に常時開設されています。
――こちらは日常的に募金ができる仕組みというわけですか?
矢下 クリック募金も検索募金もコンテンツを利用していただくと、会員の皆様にはポイントが付与されます。それと同時に弊社の基金に一定の金額がプールされるという仕組みです。これを私たちは「スマイルプロジェクト基金」と呼んでいます。弊社内に備蓄された基金は、災害支援、緑化支援、教育支援という3つの分野で役立てるべく、それぞれの分野で活躍する支援団体に寄付させていただいています。
――なるほど。スマイルプロジェクト基金の中のクリック募金、検索募金についてもう少し詳しくご解説いただけますか。
矢下 まず、クリック募金ですが、現在クリック募金のページには2つのバナーが掲出されています。バナーをクリックすると当然、リンク先のページに飛ぶわけですが、このときクリックした会員に対して1ポイントが付与(実際の加算はクリック後3日前後)されます。と同時に、スマイルプロジェクト基金にも1ポイントが寄付されるという仕組みです。バナーは広告になりますので、会員の皆様がクリックしたことで発生した広告収益の一部を、弊社が持ち出す形で基金に備蓄しているということになります。
――クリックできる回数に制限はありますか?
矢下 はい。募金にあてられるクリックは、各バナーにつき1日1回までとなっています。次に検索募金についてですが、こちらは検索募金のページに設けられている検索窓で1日に2回検索すると、会員に1ポイントが付与され、同時にスマイルプロジェクト基金にも1ポイント寄付されるものです。こちらも検索サービスを利用していただくことで、得られる広告収益の一部を寄付にあてています。
ECナビのスマイルプロジェクト基金では、クリック募金や検索募金による広告収益を寄付とする取り組みを行っています。また、特別災害支援として、会員のECナビポイントを使用するポイント募金も実施しています。詳しくは、http://ecnavi.jp/smile_project/about/ まで。
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ポイント募金のスタートは2005年
――そもそも何を契機に、どのような経緯でポイント募金は始まったのでしょう?
矢下 始まりは、確か2005年頃だったと記憶しています。インターネットポイント事業者のなかでは、おそらく早かったのではないかと思います。とはいえ、当初はクリック募金のみでのスタートでした。
――ポイント募金を始めるにあたり、直接的なきっかけがあったのでしょうか?
矢下 当時、サイト上で募金ができる仕組みをお持ちのネット系金融機関がありまして、集めたお金で東南アジアの村に学校を建てるというコンテンツを展開されていました。そのことを知って、インターネット上でも社会貢献できるなんて素晴らしいね。私たちにもポイントを絡めてなにかできないだろうか? という話が社内で盛りあがったんですね。
――自然発生的に気運が盛りあがったと?
矢下 ええ。誰かがこういう取り組みはいいよねと言いだし、こういう取り組みなら自分たちにもできるよねと共感の輪が広がっていった感じです。クリック募金は広告枠なので、広告主からは当然、広告効果を求められるわけですが、そこをしっかり踏まえた上で、広告収益の一部を募金に回すことができるようになったという経緯ですね。
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東日本大震災でも発揮された対応力
――ポイント募金のメリットのひとつに初動の速さが上げられています。災害などが発生した場合、すぐに募金できる体勢が整えられるスピード感が魅力です。東日本大震災の時はどうだったのでしょう?
矢下 記録を見る限り、3月14日には募金がスタートしています。現在はもっと早く、災害発生の翌日には募金をスタートさせることができます。
――某月某日に大震災が発生した場合、翌日にはポイント募金のコンテンツが開設されると。たとえば、3日間で1000万円相当のポイントが集まったとします。寄付先に送金するには現金にしなければなりませんが、ポイントは即座に現金化できるものなのでしょうか?
矢下 企業はポイントを引当金として持っています。引当金というのは、将来の支出に備えるために、あらかじめプールしておくお金のことです。インターネットポイント事業者は引当金を持っているものですし、JIPC加盟企業は引当金を必ず保有しなければならない決まりになっています。つまり、引当金を保有しているから、ポイント相当分の現金をいつでも用意することができるというわけなのです。つまり、ポイントの即座の現金化が可能なのです。
――よく分かりました。ちなみに現在、募金総額はどのくらいの規模になっているのでしょう?
矢下 弊社が展開している3種類のコンテンツを合わせたポイント募金の総額が、2017年1月時点で約1億2000万円になります。そのうち東日本大震災関連がおよそ5000万円。内訳は会員の皆様がご自分のポイントから寄付された分が約2100万円。弊社が備蓄していたスマイルプロジェクト基金からの分が2900万円ほどになります。
――災害支援の寄付先は決まっていますか?
矢下 日本赤十字社にも寄付させていただいていますが、それだけではなく小規模でもひとつのミッションに対して情熱を持って取り組んでいる団体を選んでいます。とりわけ、大規模災害支援に長けた「Civic Force/シビックフォース」については、非常に機動力のある団体だと認識しています。
――「Civic Force」の活動については、第3回目でご紹介するつもりです。
矢下 「Civic Force」は、フィードバックがもらえるのも利点ですね。寄付したお金がどのような活動に使われたか? これは会員の皆様の誰もが気にすることですが、大きな組織だときめ細かく対応していただくことがなかなか難しいこともあります。その点、「Civic Force」は1か月に1度の頻度で活動報告をいただけますから。
――最後に、ポイント募金に対する会員の意識は、12年間で変わりましたか?
矢下 震災など大きな自然災害が発生したとき、会員の皆様の中に、翌日になれば「ECナビ」でポイント募金が始まるだろうという意識が、定着しているように思います。募金コンテンツ開設後、すぐに大きな金額が集まりますから。ポイントサイトに限らず、さまざまな企業がポイントを絡めた募金を実施されていることもあり、ポイント募金の認知度はかなり上がってきているのではないでしょうか。ポイント募金に対する“文化”みたいなものが、かなり醸成されてきているというのが実感ですね。
ECナビでは、2011年3月11日に発生した東日本大震災のときは、3日後の14日には専用募金システムを構築しました。現在では、災害発生の翌日には募金コンテンツを開設することが可能となっています。
(ECナビ 東日本大震災被災地支援 https://ecnavi.jp/tohoku_bokin/)
ポイント墓金をもっと身近なものに…
今回は、株式会社VOYAGE GROUPのポイント募金活動を一例としてJIPC加盟企業の社会貢献具体例を紹介しました。規模の大小はあっても、ポイント墓金という新しい社会貢献スタイルをもっと広めていくために、JIPC加盟企業は、さまざまな取り組みを行っているのです。次回は、インタビューの中にも登場した公益社団法人Civic Forceの災害支援活動の様子を紹介します。どうぞ、お楽しみに。
<次回に続く>